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PHI FANTASIAに乗ってみた


PHIからリリースされたLo-AカテゴリーのFANTASIA(ファンタジア)。これまでPHIのエントリーモデルと言えばSONATAでしたが、それよりもさらに扱いやすいモデルとして開発され、PHIでは「万人の翼」と評しています。

今回、このFANTASIAをPikaichi Checkです!!

テクニカルデータをチェックする

では、FANTASIAのテクニカルデータをチェックします。



今回試乗したのはサイズ22。レンジは75-95Kgですが、これに上限いっぱいの95Kgで乗ってみました。

Lo-Aと言うこともあってアスペクトは投影で3.45、実測で4.69と言う数値。見た目も「初級機だなぁ」と言う印象です。ちなみに、同じAクラスのSONATAは投影で3.42、実測で4.72と近い数値になっています。



エアインテイクは36セルでリーディングエッジ側にはナイロンロッドが装備されています。下面側は半円形状になっていて、写真のように広げた際に自立する構造になっています。そのため、ライズアップ時のインフィレーションを大いに楽にしています。
構造上の特徴として挙げられるのは、ラインにダイニーマを一切使用していないことでしょう。これはブレークコードに至るまですべてのラインに対してです。やはり、ダイニーマの特性である伸縮する問題による影響を排除したかったのだろうと思います。また、サスペンションレベルが3つ(アッパー、ミドル、ロワーの3段階)しかないことも大きな特徴となっています。これも、翼の形状を安定的に保つ意味で大きな役割を担っていると思われます。

乗ってみた

ウィングキッス朝霧テイクオフにFANTASIAを広げると、翼がとても小さく近く見えます。ライザーもシンプルな構造なので、ラインチェックも素早く行うことが出来るでしょう。パラグライダーを習得する講習生にとって、ライザーの構造が単純でラインチェックがしやすいと言うのは負担が少ないし、とても良い隠れた性能だと思います。



Aライザーは2つに分かれており、A1ライザーには赤に色付けされたテープが付けられています。ラインも同じく赤で統一されています。A2ライザーにはオレンジが(ラインは赤)、Bライザーは水色(ラインも同じ)、Cライザーは黒でラインは薄緑になっています。ライザーテープの太さも初級機らしい太さだと思います。

軽いライズアップに驚いた

FANTASIAは、これからパラグライダーを始めるための「1機目」を想定してデザインされているのですが、「ライズアップは手応えがあるのかな?」と勝手に想像していたら全然違っていました。
とにかく軽く上がってくるのです。



写真はあまりにも軽くて頼りない印象だったので、思わず
「ホントに上がってきてんの?」
と振り返っているシーンです。それほど軽いですね。さらに強調したいのは、ライズアップが勝手に頭上手前で止まること。最初は
「上がってこないのかな?」
と思い違いをして取りやめてしまったほどです。それほどイージーなライズアップ特性を持っています。



しっかりと頭上確認を行った後で、ゆっくりと荷重をかけて走り出せばテイクオフはとても簡単でした。

ゆったり、ゆっくり飛んでくれる

フライトしてまず感じたのは

とてもゆったりと、そしてゆっくり飛んでくれる

ということ。



最近のグライダーは、たとえエントリーモデルと言えども十分なパフォーマンスを持っていて、飛行速度もそれなりであることが多いのですが、このFANTASIAはとてもゆとりのある速度感とでも言いましょうか、本当にゆっくりと飛んでくれる印象でした。

それではブレークでの操作はどうか?

初級機らしく、大らかな特性と言うか、引けばしっかりと手応えのあるテンションを伝えてくれるフィーリング。動きも決してクイックではありませんが、引き始めからゆったりとその操作に追従してくれるような動きを見せます。十分にスキルのあるパイロットにとれば、その動きは「もたつき感」と捉えられるかもしれませんが、あくまでこのグライダーはエントリーモデルであり、グライダーの操縦を習得するための道具ですから、その観点で見れば十分反応は良いと言えると思います。

また、サーマルなどのリフトにはしっかり反応し、速度が遅いことも関係していると思いますが、簡単に上昇してくれます。上限に乗っているにもかかわらず、それほど良い条件とは言えない日に、そこそこ滞空出来たのは驚きでした。ただ、ブレークコードによる旋回操作などを行うことで、しっかりと沈下してくれますので、スクーリングなどの場面において講習生が降りられずにアタフタしてしまう・・・と言うことは避けられそうです。

A2ライザーによる翼端折りも軽く簡単に行えました。ただし、これはPHI全体に言えることですが、翼端折りライザーは真下に引き込むようにしてください。外側へ引くような操作ですと、しっかりと翼端を折ることが出来ません。



ランディングもとてもイージーです。元がゆっくりである上に、ブレークコードの操作範囲が広いので、最終アプローチでの速度管理はとても簡単でした。ハーフブレークを上手く使ってあげると狙った場所にかなりの精度で降り立つことが出来ます。ブレーク操作に関しては、かなり粘ってくれます。ですので、スクーリングにおいても、慌てることなく適切な操作を習得することができるでしょうし、誘導するインストラクターもFANTASIAを信頼して操作を指示していただければと思います。

総評

PHIのFANTASIAは、まさに

THE 初級機

と呼ぶにふさわしい性能を持っています。
初級機(特にエントリーモデルと言われるもの)には、パラグライダーをやったことのない人が乗るのですから、私たちのようなパイロットからは想像もできないようなことが起こるものです。それこそ、無茶な操作やあり得ない操作などは想定内でなければなりません。

FANTASIAは、おそらくそれらすべてが「想定内」であるだけでなく、それを懐深く見守りながら成長を手助けしてくれるもう一人の先生…と言ったところでしょうか?
スクールの校長先生には、ぜひ一度試していただきたいと思います。乗っていただければ、FANTASIAの一見地味ですが、懐の深さや寛容な性能を感じていただけると思います。


NIVIUK ICEPEAK EVOXに乗ってみた


NIVIUKから待望のCCCコンペティションモデルが正式にリリースされました。その名は


ICEPEAK EVOX(アイスピークエボックス)


ICEPEAKの名を冠してはいるものの、その仕上がりはICEPEAK史上最高の翼となりました。


今回、ようやく実機に乗ることができましたので、あくまで私個人の感想を紹介したいと思います。

意外におとなしい

日本に初めて入ってきたICEPEAK EVOXサイズ22。早速テイクオフで広げてみる。
平面アスペクト7.6のこの翼は、パッと見は意外におとなしい印象を受けました。





2ライナーのその翼は99セルと、このクラスにしては少なめのセル数になっています。NIVIUKテクノロジーTNTが採用されており、ニチロールがリーディングエッジからトレーディングエッジまでをしっかりカバー。より精密な翼形性に貢献しています。



ラインはA2本、A'1本、B3本の6本。Bライザーにはコントロール用のバーがついていて、この形状が使いやすい。(実際にとてもコントロールがしやすかった)

いざ!テイクオフ!!

今回は、4月13・14日にエアパークCOOで開催されるJPAナショナルリーグ第2戦「COOスプリングカップ」での実戦での感想です。前日、曇りながらも飛ぶ時間に恵まれましたので、そちらも併せて感想を紹介していきたいと思います。
どちらも装備重量は103kgです。



おとなしく見えると言ってもアスペクト7.6。綺麗に広げるのが良いのは当たり前です。大会前日はほぼ正面の風1-2m/sでリバースライズアップ。手ごたえはありますが、比較的軽く上がってくる印象でした。大会初日はやや北寄りでサイドの風。風下側が先行するかと心配しましたが、難なく真っすぐに上がってきました。ライズアップはハイアスペクト機に乗ったことのある方ならば何の問題もないかと思います。



全体的にがっしりした翼

空中に出てみると、まず非常に剛性のあるがっしりした翼に気づきます。ハイアスペクト機にありがちな「ぐにゃぐにゃ」したような感覚や動きは全くありません。直進安定性も良さそうです。特に大会前日は、曇り空での穏やかなコンディション。それでも気温減率が良いらしく、沖に出してもしっかりしたリフトがあって、この日は最高1,400mくらいまで上がったそうです。
サーマルセンタリングは、あまり深いバンクをかけない方が良い感じです。NIVIUKのグライダーは全体的にそんな印象を持っていますが、このICEPEAK EVOXも同じですね。しかし、非常に強い上昇で荒れたサーマルの場合は、やはりサーマルに弾かれたり翻弄されないように、ハイバンクでスピードをつけた旋回の方が良いと思います。




クロカンタスクに威力!サーマルサーチ効果!!

ICEPEAK EVOXのサーマルサーチ能力は素晴らしいと感じました。最近のグライダーならばそんなのは当たり前だと思いますが、敏感かつ的確な反応に早速助けられました。
大会初日はビッグコンディションになり、ナショナルリーグは横岡ゴールのクロカンタスク。実は私、個人的に北上タスクはこれまでことごとく降ってきたので、ルート上の情報が乏しくコースも出たとこ勝負でした。
しかも先に行くクセは直らず、なぜか単独行動になってしまいます。烏山を越えたあたりで低くなり気まずい状況になったのですが、策もなくただただグライダー任せで飛んでサーマルを引っ掛けながらなんとかゴールすることができました。「いやぁ、EVOXよありがとう!!」と言う感じでした。
この特性は、サーマルセンタリング中でも顕著です。サーマルが強くなると翼が前に走って食い込もうとします。さらに強い場合(大会当日は+8もあった)はさらに前に行こうとしますので、しっかりとコントロールしてください。



速度も十分かと・・・

ICEPEAK EVOXのスピードですが、しっかりと計測したわけではないので話半分に聞いてください。
普通に飛ぶ限りは、他のグライダーと遜色はありません。アクセルを踏めば今活躍しているグライダーたちと互角に闘えると思います。
アクセルは軽くはありませんが重くもないです。踏み応えがあっていいんじゃないでしょうか?コンペ機のアクセルってこんなものでしょう。
ただ、フルアクセルまで踏んでみましたが、大きく沈下することもなく、比較的フラットな特性で沈下が増えていく感じです。どこかから急に沈下が増すような感じは受けませんでした。

コントロールバーは使いやすい

Bライザーに取り付けられたコントロール用のバーですが、非常に持ちやすく使いやすかったです。クロカンタスクで長いトランジットもあったのですが、指に引っ掛けてコントロールができるので疲れません。今までは、ラピットリングを握ったり丸いボールを握ったりしていたのですが、やはり握力がなくなってきます。みんなバーに付け替えるわけですね。



乗りやすい翼だと思います

ICEPEAK EVOXは、CCCクラスのコンペティションマシーンでありながら、非常に乗りやすく扱いやすいグライダーになっていると思います。乗っている感覚は、アスペクトを感じないCクラスのようなフィーリングでした。しかし、やはりCCCはCCCです。大会当日の荒れた強いサーマルコンディションにおいては、やはりそこそこ翼は動きサーマルにも反応するのでコントロールが忙しいのは同じです。ですので、誰でも乗れるとは言えませんが、これまでに何機かコンペ機と言われるカテゴリーのグライダーに乗り、十分に経験を積んだ方ならば問題なく乗れると思います。
また、初めてCCCに乗る方ですが、少なくともDクラスを十分にコントロールできている方で、機体のい挙動やブレークコードのテンションなどから周囲の状況を察知できる方、または察知するように訓練している方。危険予知力が高く、危険を感じたならばそれに備えて抑えて飛べる方。このような方々ならば乗れるとは言いませんが、訓練しながら乗りこなしていけるのではないか?と思います。
ICEPEAK EVOXはコンペ機です。乗るには覚悟が必要です。



NIVIUKファン待望のCCC機ICEPEAK EVOXは、その期待を裏切らない仕上がりになっていると思います。
これからCCCをご検討される方は、選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか?


KORTEL DESIGN KANIBAL RACE2紹介動画


KORTEL DESIGNのレースハーネスKANIBAL RACE2。
既に多くのみなさまにお使いいただいておりますが、遅まきながら紹介動画の日本語版ができました。
本家のHPにはオリジナルの動画が配信されていますが、やはり日本語の方が分かりやすいです。


ぜひ、ご覧くださいませ。


フライトインプレッション Niviuk HOOK5

NIVIUKのEN-Bモデル「HOOK5」の動画です。サイズは26(82-105Kg)と24(70-90Kg)です。
パイロットは富士見パノラマの岡田さん、いずれのサイズも装備重量90Kgでのフライトです。

とてもコンパクトな翼で、剛性もあって安心感があります。2機目の選択肢としてはピッタリの扱いやすい機体に仕上がっています。


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